発信主義。:「抱えるくらいなら、発信【発進】せよ」 **** mistyの目に映る様々な社会現象を、考察・検討を通してグダグダ考えましょう。
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@神は月であった―ジョルジョ・アガンベン『王国と栄光』に関して―
何ということだろうか。ジョルジョ・アガンベンの著作は、政治神学に大きな貢献、というよりむしろ途方もないショックを与えてしまった。
その550頁における一つの大きな着地点は、「神は栄光を求めかつ栄化するもの(でしかありえない)」ということだ。
栄光とは、そのまんま、賛美や称賛のように、輝かしいもののことである。栄化とは”栄光”(名詞)を動詞化したもので、「輝く/~を輝かせる」という意味だ。
神は、後述するように、人を救済する神でも、人に啓示を与える神でも、何でもない。
ただただ、”私を褒め称えよ、あがめよ”と人々に要求し、かつそれに応じて空洞のイルミネーションを照らし返すだけの存在だったのだ。
順を追って説明していこう。まず、神というのは、日本の日常生活圏においては、例えば、明日が期末テストなのに全然勉強してなくて「助けて神様!!」と呼び出されるような存在である。
そのような神は、実在論的なものである。神はこの世界のどこかにモノやヒトと同じように存在し、私たち被創造物の運命を決定づけているものとして説明される。
この実在論的神は、いちおう近代自然科学主義的見地によって、排斥されうる。理由は簡単だ。「だれも、神という存在を目にした事がないから」。
ただこの答えは、ただちに次の批判を浴びることになる。「誰も目にした事のないものを、『今目にしたぞ!といって、誰が神だと信じるのか?」 電灯(エジソン)やダイナマイト(アインシュタイン)は、神なのか? 電灯や爆弾が、私たちの運命を決定づけているのか?
電灯や爆弾の発明は、確かに私たち現代人の生活を規定しているが、だからといってさきの<神>のように私たちの運命までもを決定づけない。
よって、神は実在論的位相では捉えきれない。
神は、観念論的な存在であるのか?
誰も目にした事がないし、記述の大元は挿し絵抜きの文字のみの聖書である。なるほど、それなら人間が勝手に頭の中で作りだした間主観的なものだ言えそうだ。
ユダヤ教(初期キリスト教)において、<神>とは、<父>なる存在、厳かな存在であった。恐れ多いのである。
ノアの大洪水を起こす神、バベルの塔を壊す神、それによって人々に罰を与える者としての父=神。
イエス・キリストの誕生と復活によって、中期キリスト教、現在のカトリック教が生まれた。
カトリック教圏域の神学においては、神=子(イエス・キリスト)=聖霊、という三位一体説が通説である。
しかしこの三位一体説は、様々な矛盾を孕んでいる。学界からも多くの批判を浴びている。
例えば、親なる神が、子なるイエス・キリストを人間界に使者としておくったという聖書の記述だ。
<神>は全知全能であるのに、何故わざわざイエス・キリストを送り込むという面倒なことをしなくてはならかったのか?
イエス・キリストの受難と復活を説明するには、あまりに粗雑すぎる。
なぜなら、イエス・キリストが復活してからこのカトリック教(説)は生まれているからである。
それでは、女神=<母>なるものとしての、優しい<神>は存在するのだろうか?
遠藤周作『沈黙』において現れるような、人間の苦難を共にする、見守る<神>。それは優しさと果たして呼びうるのだろうか、否。
無為の神。 何もしない神、というより中身が空っぽの神。空っぽだからこそ、ヴェールを必要とする。ヴェールに、光を、栄光を求める。
神とは、鼻から栄化を求める存在以外にないのだ。 それは、月に似ている。
月は、惑星である。恒星である太陽の光に反射して、その光を地球に照らしだす。
ニーチェは、「神は死んだ」といった。 これは、人間=神 を特質とする近代の始まりであった。
そして、その神たる人間は、科学技術の進歩を伴って、月に辿りついてしまった。そして月の空虚さを証明したのである。
その瞬間、月は、月ではなくなった。世界は神であるか、かつ何もないか、の一つになった。ただの一論である。
今後、月の可能性は、どのように展開されるだろうか。移住計画や、エネルギー源など、それは人間の下僕に過ぎないのか。
こうして神はほんとに死んでしまったのである。
ジョルジョ・アガンベンの『王国と栄光』の余波は、大きい。
misty @
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