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発信主義。:「抱えるくらいなら、発信【発進】せよ」 **** mistyの目に映る様々な社会現象を、考察・検討を通してグダグダ考えましょう。

フルハウスは嗤う

   

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抵当権と資本主義

こんばんは、mistyです!

理由あって、「横に広げるマーケット」は続き断念しています。。書こうと思えば書けるんだけど。うーむ。笑
「見えないことを信じること」に関しては、いつか投稿したいとは思っていますので、どうぞよろしくです(--〆)

今日の話は、法律の簡単な小話、エッセイです。そこまで突っ込んだ議論になっていません。


@抵当権と資本主義

(1)抵当権とは?

今日の大学でのゼミで聞いて、改めてハッとしたことなんですが…
 抵当権の制度趣旨は、資本主義の発展にある! ズバッ!と言ってのけた、民法学者の我妻はやっぱり天才だなと思いました。
あくまで我妻説という話にはなるでしょうが。
法律のお話を、ぐっと社会制度の方に引き寄せて考え付くというのが、中々出来ない。すごい。
抵当権の話を、いつでも現代社会の在り方と結び付けて、いつでも新鮮な議論を展開できますからね!( ^^) _旦~~

抵当権とは何ぞや?という風に思われる方もいると思います。
厳格な説明をすると、また話はややこしくなるので、具体例で説明します。下に述べるような感じです。

Aさんは、Bさんに100万円を貸していたとします(あげた<贈与>わけではないので、当然返さねばなりません)。
しかし、Bさんは、まんま100万円を所持していない。Bさんには、不動産(平たく言えば、土地のことです)を持っているので、それを担保にしていたとします。担保というのは、要するに現金100万円の代わりに、その土地を(最終的には金銭化して)充てる事をいいます。
Bさんは日頃から、持っているその不動産で、賃貸などの商売で儲けているとします。そして、約束の返済期が来ても、100万円を返せなかったら、自動的に、その不動産を競売(「けいばい、と読みます」)手続きにかけて換金して、そこから100万円をAさんの弁済に当てることができる。この、弁済に当てることができる権利を、抵当権といいます。

説明長っ! 笑 要は、債務者に、商売をさせておきながら、約束の時期を過ぎた時には仕方ないから強制的に弁済をさせる権利です。
メリットは、考えようによると思いますが、(1)100万円借りたらそのまま100万円返さなければならない、といった即物的な形式の契約にとらわれることがない、そして(2)債務者は、弁済期にあっても、抵当権の目的物(上の事例でいうと、Bさんの所有している不動産です)を利用して、収益を得ることが出来る、(3)抵当権者(債権者、事例でいうとAさん)は、確実な弁済を得ることが出来る、などなど。
 デメリットは、複数の人が関与してきた場合の処理の仕方がやや煩雑になる、(2)抵当権の及ぶ範囲がイマイチ定かでない、などなど、他にも色々あると思います。

 我妻先生は、もう亡くなっておられる学者ですが、既にこの抵当権の意義を、資本主義の関連の下に考えていました。
資本主義は、資本を投下して、労働力を購入してそこから商品を産み、商いによって利潤を得て、の繰り返しです。ですから、ある程度のスピードと融通の良さは、のどから手が出るほど欲しい要素になります。
 抵当権制度は、債務者は自己の債務の弁済にそれほどとらわれることなく目的物の利用・収益行為をなすことができるし、抵当権者にとっても確実な弁済が得られるので、まさにうってつけといえるわけですね。


(2)資本主義の現在

ところで、その資本主義制度そのものはどうなっているかというと、まさに危機に瀕しているということができます。
書店に行っても、「資本主義」「瓦解」「終わり」「危機」、これらのキーワードが一緒になった論考や基本書は本当に多いです。
労働者への搾取、という、マルクスのテーマの一つでもある事態の困惑さは、資本主義の影の大きな要因になっていると考えます。

(1)で見たように、もし我妻先生に同調するとすれば、抵当権の制度も、今日の資本主義の停滞という現象とパラレルに考えざるを得なくなります。
すなわち、契約をどう結ぶかは基本的に完全に当事者に委ねられている<契約自由の原則、民法の根幹の原理>ので、抵当権を設けるかどうかも、自由の範囲内になっています。
おそらく、ここをイジるのかなぁと。
つまり、抵当権を付けるか付けないかは、昨今の取引界では当事者の自由でしたが、もしかしたら一定の条件を満たした場合にだけ、抵当権付きの契約をしてもよい、などといった形式の議論が生まれてくるかもしれない、といった事柄です。

 抵当権の制度趣旨=資本主義の発展
ととらえることは、抵当権の設定を促す方向に働きます。そこで、「ちょっと待った!」をかける。
一つの取引が新しい取引を産んで、それは利益が利益を産むといった神話=資本主義、が、瓦解の危機に直面しているのだとしたら。
取引締結に関して、もう少し慎重に!との声を政策的にかける余地はあります。
 例えば、別の次元にはなりますが、特定商取引法や消費者法等の特別法の規定は、そうした、「契約をする前にちょっと待った!」の効果を人々に与えるものだという事ができます。


ちなみに、昨今の取引界では、金額がある程度の大きさをもつ契約関係を取り結ぶにあたっては、ものにはよりますが一般的に抵当権などの権利を付すことが多いみたいです。もちろん、返せなくなったら困るのですから当然ですよね。

(3)まとめ

現行の修正資本主義の下でも、1日にどれだけの契約が結ばれているのかは、図り知れません。数えきれないくらい多数の契約関係があることでしょう。
しかし、その中で、どれほど公正で安定感のある関係はあるのかというのも、昨今では微妙なラインです。一般に、契約自由の原則の下では、例えば国が「契約の際にはこうした形式を!」といった公式なルールが中々働きにくいので、その態様は千差万別だと思います。

抵当権は、便利でもありますが、同時に強力な権利です。
あまりに少額の金銭でも、弁済を弁済をと迫るのは、時にはやむをえない場合と認められるにも関わらず、酷であるかもしれません。
抵当権の設定をするにあたって、下限を作って、これ以下の金額でのやり取りでは抵当権を付けることが出来ないなどといった政策の議論が生まれる日はそう遠くないのかもしれません。

以上!
ちなみに、抵当権の基本的な知識については、さまざまな書籍がありますが、
①内田貴『民法Ⅲ 債権総論・担保物権 [第三版]』東京大学出版会、2009
②淡路剛久ほか『民法Ⅱ 物権 [第三版補訂]』有斐閣、2010
をオススメしたいと思います。話の中で出てきた我妻先生の本もあります。以下。
③我妻 栄『民法案内4 物権法 下 』(勁草書房、2006)

misty @

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1989/03/19
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自己紹介:
学生をやっております。
*好きなモノ・コト
自分哲学すること。
音楽を聴くこと、観ること、演ること、造ること。
映画鑑賞。静かな空間。くたびれた電車の中。美術館。
江國香織。遠藤周作。田口ランディ。

*苦手なモノ・コト
喧噪。口論。理論づくしの人。
早起き。健康的な生活。
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